トイレ誘導・オムツ交換の回数の減らし方

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排尿日誌

トイレ誘導・オムツ交換の回数減少のゴール

 トイレ誘導・オムツ交換の回数を減らす目的(ゴール)は、利用者様の快適な生活と、介護職員の無駄な負担の軽減です。

浮いた時間を、介護職員の休憩時間に当てたり、利用者様と接する時間に活用するために行います。

トイレ誘導・オムツ交換の回数減少で期待できること

  • 介護職員の負担軽減
  • 利用者様の嫌がる排泄介助の減少
  • オムツ代削減による介護保険と外のサービス料の向上
  • 排泄介助時間減少により尿意あるときのトイレ誘導増加(自立支援)
  • オムツの当て方教育・育成
  • 利用者様の睡眠時間の確保と日中覚醒

尿量計測期間を決め、環境を整える

 2〜3日間、期間を決めて、尿量を計測します。施設系の場合、そのほかの仕事で忙しいことと思いますので、一人づつもしくは二人づつなど、徐々に計測することになります。計測するときは、ほかの仕事を削減するなどの対応も必要になるでしょう。

尿量の個人差を知る

 膀胱容量は通常、300〜500mlです。通常と呼ばれる範囲内であっても、個人差が大きい傾向にありますが、加齢に伴い、膀胱容量は減少傾向にあるので、高齢者の場合はより個人差が大きいといえます。

中には150mlと、通常の半分程度しか膀胱に尿をためられない方もいらっしゃいます。このような利用者様が、1日の正常な尿量1,500mlを排泄するとしたら、1日に10回トイレに行くことになります。

もし、3,000mlを超える多尿な状態であれば、1日に20回もトイレに行かなければなりません。このように、「膀胱容量」「排尿回数」「排尿量」には個人差があり、とても差が大きいことを理解しておく必要があります。

利用者様一人ひとりの尿量を測る

排尿日誌

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 以下に記載する必要なものや準備を整えたら、実際に尿量の計測をしていきます。

※ダウンロードは無料です。記録用紙として使う以外の行為は禁止します。

必要なもの

トイレ誘導する方
記入表・採尿容器
オムツに排尿する方
記入表・ポリ袋・オムツ・台計り(2Kgまで)

トイレ誘導する方

 トイレ誘導する利用者様の場合、リハビリパンツなどに排尿していても、していなくても、一度トイレに座ってもらうかと思います。

この際、トイレに排尿してくださることもあるかと思います。いつもであれば、それで問題ないのですが、計量するときに、そのままトイレに排尿されては、排尿量を測ることができず困ってしまいます。

そこで登場するのが「採尿容器」です。「採尿容器」は、幅がおおよそ30cmあり、便器と便座の間に挟んで採尿することができます。

これがあると、排尿の計量時はもちろん、健康診断などで尿を採取しなければならない時でも比較的簡単に採尿できるので便利です。

オムツに排尿する方

 オムツに排尿する方の場合、準備しなければならないことと、ものが少し多めです。必要なものは、オムツを入れるためのポリ袋と、オムツの重さを測るための台計り(2Kgまで)です。

台計りは、1Kgまでのものでも良いのですが、オムツの重さも考慮すると、2Kgまであるものの方が安心。

アナログな台計りの場合、かさばりますし、なぜかとても高額ですので、料理用のデジタル台計りをお勧めします。2Kgまで測れるものであっても、おおよそ1,000円くらいで購入することができます。

あらかじめ、ポリ袋とオムツ類の重さを測っておきます。排尿後のオムツ類を計量し、ポリ袋とオムツ類の重さを引いたものが尿量になります。

尿取りパッドやオムツの吸水回数からトイレ誘導・オムツ交換の回数を決定する

吸水回数10回分の尿取りパッドなら1日1〜3回の排泄介助で済む

 2〜3日間、排尿量の計量が終わったら、利用者様にあったトイレ誘導・オムツ交換の回数を決めていきます。

多くのオムツ会社は、1回の排尿量を150mlとして、吸水回数を記載しています。例えば、1日おおよそ1,500mlの排尿をされている利用者様がいたとします。

吸水回数10回分なる尿取りパッドも販売されていますので、極端な話、1日1,500mlの利用者様にこの尿取りパッドを採用すれば、1日1回のパッド交換だけで排泄介助が済んでしまうということになります。

実際には、ご本人様の不快感の有無、お肌の問題、感染症の問題、衛生上の問題、排便など、様々な理由で1日に2〜3回の排泄介助になるかと思います。

しかし、3時間おきの定時排泄介助をしているのであれば8回、4時間おきなら6回の排泄介助をしていたものが、半分以下に減らせる可能性があるのです。

排泄回数を減らすことができれば、1回の排泄介助に5分かかっている場合でしたら、1人15〜25分も時間の短縮ができるのです。

3日間の平均値で吸水回数からトイレ誘導・オムツ交換の回数を決定するか、最も多かった尿量で決定するか、最も少なかった日で決定するかによって、大きく変わる可能性もあるので、その点よく考えて決めましょう。

夜と昼と尿取りパッドの種類を変える

 夜間は本来、「抗利尿ホルモン」が分泌されるため、寝ている間の排尿は0回です。しかし、加齢に伴い、「抗利尿ホルモン」が十分に分泌されなかったり、本来の効力を発揮できなかったりするので、夜間多尿になりがちです。

なりがちというだけで、個人差は大きいです。尿量を計量しておけば、利用者様の一人一人の夜間多尿か正常か、しっかり把握することができるので、それに合わせて、尿取りパッドの種類を変えることもできます。

日中は、人の目に触れることを考慮すると、できる限りかさばらない、薄めの尿取りパッドやオムツの着用を考えたいところです。

尿量と吸水回数との問題もありますので、バランスを考えた尿取りパッドを選ぶ必要があるでしょう。

夜間の場合、睡眠を阻害しないためにも、睡眠から起床まで一晩中、オムツ交換の必要がない吸収回数を有する尿取りパッドを選択する必要があります。

利用者様の体重によって水分摂取量も改善する

1日に必要な水分摂取量

 1日に必要な水分摂取量は、体重によって異なります。体重に関係なく、1日に必要な水分摂取量を2Lなどと一律に決めている場合、体重の少ない利用者様にとっては過剰摂取になってしまいます。

そこで、しっかり体重ごとに必要な水分摂取量を把握しておきます。水分は、食事からも補給しています。おおよそ1Lの水分を食事から吸収できると言われています。

そのため、食事とは別に補給する水分摂取量は、だいぶ少なくなります。おおよそですが、適切な水分量は、体重(Kg)×25〜30mlです。

体重60Kgの方であれば、1,500〜1,800mlです。食事から1,000ml補給していると考えると、合わせて、約2,500~2,800mlの水分が必要だということになります。

体重40Kgの方であれば、1,000〜1,200ml。食事と合わせて2,000〜2,200mlですので、一律で1,500mlと決めていた場合、少し過剰です。それに合わせて、この方は多尿に傾きますので、注意が必要です。

回数を減らした後は、状態記録と尿漏れ回数の集計を行い改善する

快・不快の確認、お肌、尿の色やにおいの観察と記録を怠らない

 当たり前のことですが、利用者様本人の快・不快の確認、お肌、尿の色やにおいの観察と記録を怠らないようにしましょう。

本人の口から快・不快の確認ができないのであれば、お尻のムレ具合などを確認して、通気性を確保する工夫も必要です。

お肌の異常などの確認はもちろん、尿の色に異常がないか、尿のにおいが強くなっていたりしないかなど、しっかり観察して記録します。

尿取りパッドの吸収量を超える排尿が原因の尿漏れ回数を毎月集計

 記録用紙には、尿漏れ回数を記録することになりますが、それを毎月集計します。あまりにも尿漏れが多くなった場合には、その原因を探り、改善する必要があります。

例えば、1回150ml、吸収回数5回の尿取りパッドから、尿量を集計したところ、750mlを超える尿量があり、尿漏れをしていたとします。これが月に5回も発生していました。

この状態を放置しては、その都度衣服の着替えを行なっていることになるので、より利用者様と介護職員に負担をかけていることになります。

尿取りパッドの吸収量を超える排尿があったことが明らかですので、吸収回数6回の尿取りパッドに交換するか、排泄介助の回数を1回増やすなどの対応が必要です。

尿取りパッドの吸収量を下回っているのに、尿漏れ回数が多い時

 例えば、1回150ml、吸収回数5回の尿取りパッドから、尿量を集計したところ、400mlの尿量しか計量できなかった場合、オムツの当て方に問題があります。

尿漏れを防ぐために、過剰に尿取りパッドをあてる方もいますが、これは多くの場合逆効果です。隙間ができてしまうので、尿がギャザーでくい止められることなく流れてしまい、尿漏れしてしまっているのです。

この場合、吸収回数の多い尿取りパッドに交換したり、排泄介助の回数を増やしても意味ありませんので、再度介護職員一人一人に、オムツの当て方について教育・育成する必要があるでしょう。

オムツ交換の教育・育成に参考にできるのは、記録した「前漏れ・横漏れ・後漏れ」です。利用者様によって、どこから漏れやすいのか、個人差があるかと思いますので、しっかり記録しておくことをお勧めします。

1日9回以上、3,000ml異常など、明らかに異常な場合にはお医者さんに相談する

 1日9回異常、夜間2回以上の「頻尿」。3,000ml以上の「多尿」。500ml以下の「乏尿」「無尿」などの場合には、お医者さんに相談しましょう。

病気や薬、水分摂取量に原因を見出せないにもかかわらず、「頻尿」「多尿」「乏尿」「無尿」なのであれば、体に何らかの問題がある可能性があります。

明らかに「頻尿」なのに本人が困っていなかったり、「頻尿」でないのに本人が悩んでいる場合にも、お医者さんへの相談が必要です。

ただし、食事・水分量、持病と飲んでいる薬など、様々な良い運が重なって、そのような症状になっているとわかっているのであれば、変化があった時にだけ相談します。

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