排泄介助の回数を減らすべき5つの理由と半分以下にできた経験

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利用者様にとって排泄介助は心地悪い

 排泄は人が生きていく上で、必要不可欠な行為です。赤ちゃんの頃であれば、何の抵抗もなく排泄の援助を受けられていたのでしょうが、ある程度の年齢になると、羞恥心が芽生えてきます。

歳を重ねれば重ねるほどに、失敗することが恥と感じるプライドが高くなります。それは高齢者であっても同じ。しかし身体機能の低下は、そのプライドを意識してはくれません。

実際に排泄介助をされたことのある介護職員は、余りいらっしゃらないかと思います。おむつをつけられる恥ずかしさ、陰部洗浄をされる時の情けなさ、何もかもが、今まで感じたことのない、なんともいえない心地悪い感情で満たされます。

できる限り、排泄介助や陰部洗浄はされたくないと思います。自分ではできないので、仕方なくされるがままにしてもらいますが、申し訳なさと心地悪さで心がいっぱいになるので、生きていることが申し訳なくなってきます。

若いうちの治る病気であれば、一時の我慢で済みます。しかし、高齢者の場合は一時と限りません。認知症になり、何も感じなくなれるのであれば、そちらの方が良いと思うくらいです。

マズローの欲求5段階説第一階層の「生理的欲求」が満たされない状態は余裕がない

 排泄という生理現象が十分に満たされていないと、自分の身の安全とか、周りの人に対する優しさとか、考えている余裕がありません。入院し、自分で十分な排泄ができなくなることで、身を以て、マズローの欲求5段階説が正しいのだと、心から実感させられたのです。

尿道カテーテルを外したばかりの頃、尿意を感じてから何時間もベッド内で排尿することができず、看護師を呼んで強く言ってしまったことを今でも後悔しています。3時間以上、排尿しようと試行錯誤しましたが、排尿することができない状態で、余裕がなくなってしまっていたのです。

利用者様の本心から望む、排泄ができない状態では、「自立支援」に近づけることはまずできません。「生理的欲求」を飛び越えて、他の欲求を満たすことはできないのです。

定時に行う排泄介助は、仕事をしている気分にはなりますが、排泄したタイミング、尿意を感じるタイミングを無視していることを忘れてはなりません。

最も満足のいく排泄介助とは、排泄介助をしていないときと、排泄介助をしているときの両方ともが、できる限り、不快の少ない状態です。

今時の尿取りパッドやオムツは尿を吸収してもサラサラ

 オムツの会社の人が行うプレゼンには、ぜひ参加することをお勧めします。たっぷりの水分を吸収しても、尿取りパッドやオムツの表面がサラサラであることが、嫌という程わかります。

特に、夜用の尿取りパッドやオムツの場合、一晩中交換しなくても、皮膚トラブルにつながらないよう、サラサラのまま維持する機能と性能を有しているのです。

できれば、サービス担当者会議などにご参加いただき、利用者様ご本人と、ご家族の理解を、ここで得られていると、トイレ誘導・オムツ交換の改善がスムーズです。

トイレ誘導・オムツ交換の回数をできる限り減らして欲しい方とすぐにでも誘導・交換して欲しい人といる

 尿取りパッドやオムツの性能や機能とは別として、利用者様本人が心地悪く感じていたのでは意味がありません。もちろん、お肌のトラブルの原因になるのであれば、トイレ誘導・オムツ交換の回数を、簡単に減らすことはできません。

しかし、尿取りパッドやオムツの性能や機能の助けを得ることで、利用者様本人が心地悪さを感じておらず、お肌のトラブルの原因にならないのであれば、できる限り回数を減らして欲しいと考えている可能性があります。

トイレに行く方であれば、何度もトイレに行くことを嫌がっている利用者様の方が多いです。寝たきりの人も同様。睡眠を阻害されてまでオムツ交換をされることを、実は嫌がっている利用者様もいるはずです。

特に、利用者様一人ひとりの個人差を考慮せず、3〜4時間おきにまとめてトイレ誘導・オムツ交換をしているのであれば、嫌がっている可能性はとても高いといえます。

尿意を感じている方であればなおのこと。自分の身に置き換えて考えてみると、比較的多くの方に共感していただけるのではないでしょうか。3〜4時間おきのトイレ誘導など、苦痛を感じている方以外はあまり喜びません。

介護職員や支払いの負担も減るので一石七鳥

 利用者様一人ひとりの排尿回数や尿量を、しっかり把握するのは少し面倒です。しかし、ある程度把握することができれば、一人ひとりに合わせた排泄介助ができるので、利用者様一人ひとりの不快が減ります。

3時間おきに排泄介助を行なっている場合1日8回。4時間おきに排泄介助を行なっているところであれば1日6回の排泄介助を行なっています。1回10分かかっているのであれば、1人の排泄介助に1日1時間から1時間20分の排泄介助です。

もし、尿意を感じていない方で、オムツや尿取りパッドを原因とする不快やスキントラブルがないのであれば、オムツや尿取りパッドの性能に頼ることで、トイレ誘導・オムツ交換の回数を減らすことができます。

オムツや尿取りパッドの交換が減れば、オムツ関連の請求を減らすこともできます。オムツ関連の請求が減れば、介護保険外のサービス利用に使ってくれる可能性も増えます。

介護職員の負担が減るメリットはもちろん、その時間を使って、尿意のある人を尿意あるときにトイレ誘導することも可能となります。

また、尿量を原因とする尿漏れなのか、オムツの当て方を問題とする尿漏れなのかがはっきりするので、介護職員の教育・育成に役立てることもできます。

夜間の排泄介助の回数を0にできれば、睡眠を阻害しませんので、日中覚醒し、夜間しっかり寝ていただけるようになる期待値も上がります。

定期的な排泄介助という常識を覆すと、多くの場合排泄介助の回数が減る

 私がグループホームに勤めていた時、利用者様一人ひとりの個人差に着目した排泄介助を行うと、夜勤者の排泄介助の回数45回が、20回に減少しました。

利用者様9人。夕食後と22時、0時、3時、起床時のトイレ誘導・オムツ交換を行なっていたとのことでしたので、本来であれば45回だったのです。

それが、夕食後と起床時のトイレ誘導・オムツ交換だけに変えることができました。一人だけ尿量が多く、0時前後に1回オムツ交換をする必要がありました。そのため20回。

意思表示できる方は、あらかじめ利用者様本人の言葉を聞き、ご家族には、本人の気持ちと、上記のような説明をして、ご理解頂いた上で行いました。

お肌の問題もありますので、体位交換の際、睡眠を阻害しないよう、尿漏れしていないかどうかのチェックをしました。しかし、一人ひとりの排尿量を把握しているので、尿漏れすることが少なく、お肌の問題も発生しませんでした。

※薬・食事・水分摂取量などで尿量が大きく増える場合には、尿漏れすることもあります。
※人の排尿の仕組み上、夜間は大幅に減少させることは可能ですが、日中はあまり減らせない可能性があります。

排尿の異常を判断するものさし『排尿の仕組みの基本』を7つにまとめ』もチェックしてみてください。

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