利用者様の目的地と介護職員の行動方針!『サービス計画書1』の作り方

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サービス計画書(ケアプラン)

 介護職員にも、ケアマネにも読んで欲しい、利用者様の人生の目的地(利用者および家族の生活に対する意向)や、それを達成するための介護職員の行動方針(総合的な援助の方針)を決めるための方法と重要なポイントについてご説明するページです。

ケアプラン第1表『居宅(施設)サービス計画書(1)』を作る目的は、利用者様の人生の目的地を把握、共有すること。そして、その目的地へ到達するための、介護職員の拠り所(コンパス)を作ることにあります。

このページでのゴールは、読んでいただけた介護職員やケアマネみんなが、利用者様の人生の目的地への道のり(同じ目的地を目指し)を、しっかり迷わず、サポートしていけるようになることです。

ケアプランの改善と介護職員のモチベーションの向上、深い議論ができる会議に改善できる効果に期待できます。

ケアマネも介護職員も『サービス計画書1』の重要性を理解していない』を読んでからの方が、より理解が深まります。

言葉の定義をしっかり覚える

 最も基本的な部分になります。言葉の定義をしっかり把握していない、もしくは、職員一人一人の言葉の意味の捉え方が異なる場合に、とても困ってしまいます。

「私はこうだと思っていた。」「自分は、こう思っていたので、こうしました。」では、介護職員の行動はバラバラになってしまいます。

会社やチームは「組織」であるべきですが、言葉の定義一つで、ただの「烏合の衆」に堕落するのです。同じ目的を目指していない者同士は、協力・助け合うことができません。揉め事の原因になります。

『生活』とは「生きる」「暮らし」「生計」

 ケアプラン第1表『居宅(施設)サービス計画書(1)』にある、「利用者および家族の生活に対する意向」の『生活』の部分です。

『生活』という言葉が、あまりにも当たり前すぎて、その意味を考える方はとても少ないかと思います。しかし、『生活』の意味はとても難しく、様々な意味合いを有していますので、職員全員でしっかり、『生活』の定義を立て、断言しておく必要があります。

『生活』とは、広辞苑(第五版)によれば「生存して活動すること、生きながらえること」「世の中で暮らしてゆくこと」とあります。単純に、「暮らし」という意味だけではありません。

世の中で暮らすということは、「生計」の意味もあります。「生きること」は「命」や「人生」と言い換えることや「一生涯」などと言い換えることもできます。様々な意味合いを持った言葉であること、再確認しておきましょう。

『意向』とは「心の向かうところ」

 ケアプラン第1表『居宅(施設)サービス計画書(1)』にある、「利用者および家族の生活に対する意向」の『意向』の部分です。

『意向』とは、「心の向かうところ」を意味します。向かう先が今ここなのかもしれませんし、もっと違うところなのかもしれません。

どこに向かいたいのかは、利用者様本人やご家族と、しっかり話し合わなければなりません。最も重要な部分です。

「心の向かうところ」をわかりやすく言い換えると、「目的地」ということになります。「目的地」をしっかり把握し、介護職員みんなで共有しておくことで、迷うことなくその「目的地」へ、歩むことができるようになるのです。

『総合的』とは「一つにまとめること」

 ケアプラン第1表『居宅(施設)サービス計画書(1)』にある、「総合的な援助の方針」の『総合的』の部分です。

『総合的』とは、「別々のものを一つにまとめた様。」という意味があります。例えば、「外出時はすぐそばで見守り」「動線にものを置かない」「飲み物にとろみをつける」この3つを総合すると、「安全に」ということになるでしょうか。

別々であるものを別々のままに表現すると、「具体的」な表現をすることができます。しかし、別々のものをまとめて表現すると、「抽象的」で曖昧な言葉でしか表現できません。

「訪問介護」「デイサービス」などをまとめると「介護職」といったように、「訪問介護」と「デイサービス」は、同じ介護でもサービス内容が全く異なるにもかかわらず、「介護職」という言葉では、その違いを表現できないのです。

『方針』とは「行動の方向」

 ケアプラン第1表『居宅(施設)サービス計画書(1)』にある、「総合的な援助の方針」の『方針』の部分です。

『方針』とは、「どのように考え、どのように行動するかの方向」を意味します。ケアプラン第2表『居宅(施設)サービス計画書(2)』で決める、「目標」や「ニーズ(ゴール)」に到達するための、拠り所とするものです。

例えば、砂漠などのように、なんの拠り所もない道を歩く際には、どのように街から街へ移動するのでしょうか。それは、「方位磁針」「羅針盤」「コンパス」といった道具を拠り所に旅をするのです。

地図の上側は必ず北側ですし、ナビにも「コンパス」が表示されています。『方針』とは、行動をするための拠り所、介護職員全員の「コンパス」になり得るものをいいます。

「利用者および家族の生活に対する意向」は人生の目的地

 言葉の定義を再確認した上で、「利用者および家族の生活に対する意向」の具体的な書き方を考えていきます。

「利用者および家族の生活に対する意向」とは、わかりやすく言い換えると、「人生の目的地」ということになります。

利用者様本人と、ご家族が、頭に思い浮かべた自分の望む生き方を、言葉に変えたものが「利用者および家族の生活に対する意向」。

具体的には、誰が誰と、どこで、どんな生活をしているのか。どんな道具を使って、どのような暮らしをしているのか。家族や社会との関わりは、どのように希望しているのか。また、何を残していきたいのか。そういった、頭に思い浮かぶ、理想や未来像を言葉に変えるのです。

人生の目的地(ビジョン/理想や未来像)
誰が
誰と
どこで
どんな(道具・生計)
関係性(家族・社会)
残していきたいもの

具体的なサービスを記載する場所ではない

 「利用者および家族の生活に対する意向」は、「人生の目的地」という理想や未来像を、頭に思い浮かべ、言葉にする場所になります。

そのため、個別具体的なサービス内容を記載する場所ではありません。個別具体的なサービスは、ケアプラン第2表『居宅(施設)サービス計画書(2)』の援助内容に記載します。

具体的な「目標」であったり、「ニーズ(ゴール)」なども、ケアプラン第2表に記載すべき内容です。

「利用者および家族の生活に対する意向」はケアプラン第2表の基礎になる

 「利用者および家族の生活に対する意向」に書いた、「人生の目的地」と現状とのギャップが「ニーズ(ゴール)」という課題になります。

そのため、「利用者および家族の生活に対する意向」はケアプラン第2表の基礎になるものです。言い換えると、ケアプラン第2表「ニーズ(ゴール)」を達成すればするほど、「人生の目的地」が具現化されるものでなければなりません。

しっかり利用者様本人やご家族から、「利用者および家族の生活に対する意向」を聞いていなければ、そもそも、良いケアプラン第2表「ニーズ(ゴール)」を作ることができません。

「利用者および家族の生活に対する意向」は介護職員にとっての「ミッション(使命)」になる

 介護職員は、利用者様の生活をサポートするためにいます。利用者様の人生に寄り添い、日常生活動作、家事、健康の管理、社会活動の援助などを行うのです。

向かう先はもちろん、「利用者および家族の生活に対する意向」に書いた、「人生の目的地」です。

利用者様一人ひとりが、「人生の目的地」へしっかり向かうことができるようにすることが、介護職員の「ミッション(使命)」だということになります。

「総合的な援助の方針」は介護職員の行動方針

 言葉の定義を再確認した上で、「総合的な援助の方針」の具体的な書き方を考えていきます。

「総合的な援助の方針」には、利用者様一人ひとりに合わせ、「どのように考え、どのように介護サービスを提供していくか」の「方向性」を、ひとまとめに記載する部分になります。

「どのように」なので主に、品詞の「名詞」や「形容動詞」を使って、曖昧に、抽象的に記載します。以下に、介護サービスに関連しそうな「名詞」「形容動詞」を記載しておきます。

介護サービスに関連しそうな名詞・形容動詞一覧

世間

社交的、社会的、保守的、経済的、オーソドックス、スタイリッシュ、伝統的、革新的、平和的、平凡

心情

安らか、静か、快爽、情熱的、意欲的、気さく、気楽、気軽、物柔らか、朗らか、爽やか、幸福、楽しく、嬉しく

性格

エネルギッシュ、ユーモラス、実証的、実践的、実際的、遊戯的、冷静、活動的、健やか・健康的、生き生き、率直・正直、家族的、柔和、親切、人笑わせ、誠実

魅力

可愛らしく、エレガント、コミカル、刺激的、優雅、花やか、若やか、賑やか、身綺麗、美しく、上品、異国的、豪華、女性らしく・男性らしく、おしゃれ、古風な、雰囲気ある

態度

フレンドリー、積極的、和やか、素直、紳士的、能動的、自主的、自発的、衛生的、謙虚、即興的、即物的、大雑把、能率的、厳しく、真面目

外見

なだらか、カジュアル、装飾的、しなやか、軽やか、柔らか、カラフル、スマート

評価

無難、無駄、公平、公明、公正、最適、手頃、適任、適度、適正、安上がり、風変わり、人並み

性質

力強く、単純・シンプル、直接的、スポーティ、専門的、物質的、精神的、統一的、多角的、補助的、規則的、重点的、開放的、間接的、効果的、家庭的、創造的、本質的、スリリング、組織的・体型的、すらすらと

時間

スピーディ、ゆっくり、速急、テンポ早く、リズミカル

程度

リスキー、豊か、的確、部分的、予備的、細やか、優先的、印象的、確実な、徹底的・集中的、簡単な、合理的、ハイレベル、曖昧に、新鮮な、深め、軽め、細心、浅め、努力

関係

対等、同等、親身、助け合い、信頼・信用

思考

科学的、理想的、気取らず・ざっくばらん、論理的、帰納的、第一義的、系統的、統計的、肯定的、複眼的、計画的、論証的、論理的、道徳的、質的、財政的、事前的、事後的、的確、発展的、建設的、探求

状態

安定、安静、安穏、ゆるめ、万全、良好、快適、安全・安固

概念

主観的、客観的、人的、人道的、写実的、創造的、効率的、化学的、包括的、哲学的、大局的、広やか、広範、恒久的、教育的、斬新、文化的、機能的、本質的、潜在的、抜本的、一元的

介護サービスをひとまとめに表現する=1単語・1文とは限らない

 「目標」や「ゴール」を目指す道のりでは、拠り所になるコンパスを使って進んでいきます。しかし、実際の「コンパス」は、北を指し示すだけの道具です。そのため、拠り所をもう少し用意する必要があります。

「どのように」進んでいけば、「目標」や「ゴール」にたどり着けるのか、「人生の目的地」へは、「どのように」進めば、理想に近づけるのかを考えるのです。どのように人生を歩んでいきたいかという、利用者様自身の価値観も考慮しなければなりません。

例えば、「安全に」「ゆっくり」「確実に」「経済的に」「賑やかに」「大雑把に」「カジュアルに」「最適に」といったようにです。

8つの単語を使っていますが、これらの単語は共存することができます。全て合わせても、矛盾することはありません。なぜなら、上に記載した「名詞」と「形容動詞」の「思考」や「状態」「外見」などから、1つづピックアップしているからです。

1つづつピックアップしてあれば、生活のどのようなシーンにでも、大体に、方針・拠り所(コンパス)を用意しておくことができるでしょう。もちろん、同じジャンルから2つ以上ピックアップしても問題ありません。

ケアプラン第2表は、拠り所である「総合的な援助の方針」に矛盾しない内容に作ることになります。8つに矛盾しない、「ニーズ(ゴール)」「目標」「サービス内容」であって、「利用者および家族の生活に対する意向」に近づけることのできるものにするのです。

優先順位を決める

 上の例では、「安全に」「ゆっくり」「確実に」「経済的に」「賑やかに」「大雑把に」「カジュアルに」「最適に」といった8つの「総合的な援助の方針」を決めました。

もし、このような旅や人生にできるのであれば、力を抜いた、とても楽しそうな人生になるでしょう。安全に配慮され、ゆっくり生活でき、無理をすることなく、確実に理想の未来へ近づいていくことができます。

また、金銭的にも配慮され、家族や大切な人たちと、ワイワイガヤガヤ生きていけそうです。しかし、「賑やかに」なれば、なんでもいいわけではありません。

「賑やかに」するために考え出された介護サービスが、危険を伴うものであったらどうするのでしょうか。もし、8つの「総合的な援助の方針」が、まったく同じ利用者様がいても、心身状況や理想の未来像によって、優先順位が異なるのです。

例えば、90代の身体状態が重度の利用者様と60代の身体が元気な認知症の利用者様がいるとします。考えたサービスは、狙い通り「賑やかに」なることが予想されますが、足腰がしっかりしている方であれば「安全」ですが、そうでない方の場合少し危険な場合があります。

この場合、90代の身体状態が重度の利用者様の優先順位第1位に「安全に」としていれば、今回考え出された「賑やかに」できるサービスではなく、もっと他の安全なサービスに変更した方が良いでしょう。

優先順位を決めておくと、利用者様の望みや心身状況に合わせ、それぞれに適切な介護サービスの提供ができるようになります。

しかも、「総合的な援助の方針」の優先順位がはっきりしていると、介護職員同士の意見のぶつかり合いや会議などにおいても、深く質の高い話し合いができるようになります。

優良企業の行動方針を参考にする

 企業における、「ニーズ(ゴール)」「目標」達成のための拠り所(コンパス)と、利用者様への介護における「ニーズ(ゴール)」「目標」達成のための拠り所(コンパス)は、多少、異なる部分があります。

しかし、そこで働く人の拠り所(コンパス)である点においては同じです。多少、文面は変えなければなりませんが、参考にすることができます。

ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの行動方針は4つです。「安全」「礼儀正しさ」「ショー」「効率」の4つ。確かに、ディズニーリゾートで働くキャスト(スタッフ)の接客サービスは、「安全」「礼儀正しさ」「ショー」「効率」を感じるものです。

それぞれに説明書きがついており、例えば「安全」であれば、「安全な場所、やすらぎを感じる空間を作りだすために、ゲストにとっても、キャストにとっても安全を最優先すること。」と記載されています。

出典:オリエンタルランドウェブサイト『行動規準「The Four Keys~4つの鍵~」』より

このような感じで、上に箇条書きにした、名詞や形容動詞の例や、企業の行動方針を参考にしながら書き出し、それぞれに、誰にでもわかりやすい説明を付け加えれば、よりよい「総合的な援助の方針」が決まります。

利用者様とのお話で、「価値観」聞き出すことができればスムーズにできる

 「価値観」とは、物事の価値決定においての、個人的な考え方を意味します。個人的な考え方なので、人によっては、驚くような物事に重きを置いていることもあります。

例えば、多くの人は「苦痛」を嫌がりますが、「苦痛」の先にある「喜び」を知っている人であれば、「苦痛」を感じることに価値を置いている方もいます。

この「価値観」は、人生の目的地である「利用者および家族の生活に対する意向」に、大きな影響を与えます。影響というよりは、「人生の目的地」を構成する要素が、「価値観」の集合体であると言うべきでしょうか。

利用者様とご家族の「価値観」を、ある程度であっても把握しておくことができれば、「総合的な援助の方針」を考える際や、優先順位を決める際にも役に立ちます。

そのため、可能であれば、「利用者および家族の生活に対する意向」に、「価値観」も書き込んでおくことが理想的です。

ケアプラン第1表がしっかりできていないと、それを基に作られる第2表が間違ったものになる

 ケアプラン第2表は、ケアプラン第1表をもとに作られます。「利用者および家族の生活に対する意向」という人生の目的地に到達するために、現状とのギャップから「ニーズ(ゴール)」という課題を絞り出します。

ということは、「ニーズ(ゴール)」の基になる、「利用者および家族の生活に対する意向」が間違っていれば、一生懸命考えた「ニーズ(ゴール)」も「目標」も「サービス内容」も、何もかもがずれたもの、異なるものになるのです。

いくら頑張って介護サービスを提供しても、利用者様が本当に望む、理想の未来像には近づくことができないということです。

ケアプラン第1表がしっかりでき、共有できていると、介護職員の迷いが減る

 介護職員1人1人に、利用者様A様の生活を、どのようなものにしたいのかを聞いて、全く同じ回答ができなければ、一体誰のためのサービスなのか、わけがわからないものになります。

例えば、介護職員のZさんは、楽しくみんなで外出できるような介護を目指しているかもしれませんし、Yさんは、安全かつ健康的な介護を目指しているかもしれません。

しかし、そのどちらも、利用者様が思い描く、人生の目的地の最も重要な部分でなければ、それは介護職員ZさんYさんともに、ただの自己満足的な介護だということになります。

利用者様A様がもし、最も「家族との繋がり」を大切にしているのであれば、外出や安全よりまず先に、手紙のやりとりなどの介護サービスなどを考えるべきです。

ケアプラン第1表がしっかりできているということは、このように、利用者様の価値観や人生の目的地へ向かうための、高度な話し合いができるようになるということでもあるのです。

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